マンガ投稿C.C.C.

キャラクター作りの神髄

  • Vol.16:いくえみ綾
  • Vol.15:下北沢ミツオ
  • Vol.14:柴なつみ
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  • Vol.12:椎名あゆみ
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  • Vol.02:池野恋
  • Vol.01:高須賀由枝

本誌「C.C.C.」内で、様々な作家さんにキャラクター論について語っていただくコーナーが「キャラクター作りの神髄」!
HPでは、その取材模様の全文を公表します!

Vol.15:下北沢ミツオ先生

ケンケン(以下、K):次から次へと予想のつかない展開の『from End』はどのような着想で誕生したのでしょうか?
下北沢ミツオ(以下、ミ):とっかかりはちょっとよく覚えていませんが、サスペンスをやるという、ぼんやりとしたイメージと雰囲気からだったと思います。 一番最初はどんな感じの作品にするかを色に例えて決めることが多いです。
色ですか?
最初に色が決まっているとエピソードや設定のイメージが湧きやすいんですよね。どのくらい重くするかとか。
前作の『ニキの日記』はオムニバスなのですが、毎回イメージカラーを変えていました。
そうすることで設定が同じでも同じような話になりづらく、雰囲気も変えられます。
本作のキャラクターたちはどのように出来ていったのでしょうか?
最初は主人公が男教師と女子生徒だったのですが、話がうまく回らなかったので女教師と男子生徒にしました。
なので篠宮と琉生くんが最初にできたキャラクターで、後は設定などを決める時に必要な人を足していった感じです。
主人公の篠宮先生のキャラはどのように?
篠宮先生はとりあえず美人でおっとりだけと芯が強い。ここだけブレなきゃいいかなと思ってます。
あと見た目は殺人しなさそうな感じに見えるように気を付けた気がします。実を言うとキャラクターはあまり深く掘り下げません。
憎悪に満ちている早瀬父のキャラクターはどうやって生まれたのでしょうか?
殺意を持って殺されるキャラクターなので純粋な悪を目指しました。
各キャラにはご自分との接点があったりするのでしょうか?
ないと思います。話や設定から作るタイプなので、話のイメージさえ掴めたら、キャラは何でも良いんです。
むしろキャラはその時、自分の中で浮かんだキャラをそのまま描いていました。
出せと言われたらキャラ表も出せますけど…私は基本、キャラ表は作らないですね。
お話や設定の方から先に作っていますが、ちゃんとそれぞれがキャラ性を持っていると思います。これは、どうやったら?
キャラ表で「優しい」とかキャラ設定を書いていっても意味がないので、こういう時はこう言い返すとか、こんな時にこういう表情をするとか、雰囲気的なものをキャラとして捉える感じですね。 その大事な軸をおさえつつ、描きながらキャラを掴んでいきます。
描きながら掴む時というのは?
担当さんに「このキャラはこんなこと言う?」と言われたりすると、確かにそうだなと思って、少しずつキャラが固まっていく感じでしょうか。
どうやってキャラに入り込んで表情や感情を描いているのでしょうか?
基本どんなコマも表情を描くときはそのキャラクターと同じ顔に私自身がなってます。
感情を込めるためにそのキャラクターの状況をその度、妄想しまくって自分に置き換えます。
感情の激しい場面が続くときは精神的にきつくなるので描く順番を替えたりします。
きつくなりますか。
この作品は描いていて心が病みますよね(笑)。殺されなきゃいけない人や止むを得ず殺す側、巻き込まれてしまった人の気持ちを自分に置き換えるとツラいです。
ツラくとも、感情を妄想することは、漫画作りでは大事な作業なわけですね。
自分でも体験したことがないことなので、感情が分からないんですよね。でも、ひたすら妄想するしかないんです。
元々サスペンスが好きなので、ドラマや映画、小説などのシーンを総動員して妄想してます。
大変な作業ですね。
最終的に考えすぎて病んだ時に、そのキャラの気持ちに近づけるかもしれません。
だから、ネームに向かう時は1人になって暗闇の中でとにかくテンションを下げます。
テンションが上がってる時や嬉しい時だと違う話になっちゃうんですよね(笑)。
早瀬父の残虐な思考や行動、表情はどうやって思いついているのでしょうか?
思考や行動については、自分で思いつくあらゆるパターンを考えます。
その中で、一番強烈なものを選ぶ感じなのですが、私が出した案よりも担当さんの案の方がその上を行く時もあるので、担当さんの案をいただくことも。
でもさらにその案の上をいってやろうと必死で考えたりもするのですが、思いつかないことが多いです。結構くやしいです。残虐な表情はもともと得意でした。
脇役の作り方について。綿貫みちるなどの周りのキャラは初めから計算して作っていたのですか?
初めから計算するのは苦手なので、周りのキャラは必要になってから考えます。気を付けていることはそれまで出てるキャラと被らないこと、動かしやすいキャラにすることです。
それまで出てるキャラと被らなくするには?
一番は見た目の差をハッキリつけることですね。髪の毛の色、髪型。目を釣り目にするとか垂れ目にする。明るいキャラがいなければ明るいキャラを出すなどです。
意外と投稿作を見てるとその差が出ていないものが多いので、なるほどです。動かしやすいキャラというのは?
たとえば、空気を読まない(読めない)キャラは動かしやすいです。何をしてもおかしくない人とか。1人いると便利ですね。
 
なるほど! 物語のかき回し役にピッタリですね。では連載で話を作る際に、意識していることは何かありますか?
ここまで長い連載は初めてなので、正直何を意識していいのか今でもよくわかってない感じです。でも一つだけ、サスペンスは引きが大事だと思うので、引きに一番強い場面を持ってこれるように意識してます。
下北沢先生が漫画制作において、こだわっているポイントを教えてください。
話、絵、コマ割り、セリフの言い回し、構図等々色々ありますが、その中のどれか1つでもいいので、自分が描いた前作を超えることです。 これだけはデビューしてからずっと自分ルールとして意識してることです。
下北沢先生が投稿者時代やデビューした新人の頃のエピソードを教えてください。
実は投稿時代はネームを描いたことがなくていきなり原稿に直描きしていました。
デビューしてから担当さんにプロットとネームを出してくださいと言われて何ですかそれ…と聞いたのを覚えています。
担当さんにすすめられて漫画の描き方の本を読みました。
これから少女漫画家を目指す投稿者や新人に対して、アドバイスをいただければと思います。
とにかく大事なのは描くことだと思います。
自分の悪いところも良いところも描くことでしか発見できないと思うので、悪いところ、良いところが分かれば改善したりさらに伸ばしたりとピンポイントで練習できるし、結果的にそれが自分の武器や引き出しを増やすことにつながると思います。

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