マンガ投稿C.C.C.

キャラクター作りの神髄

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本誌「C.C.C.」内で、様々な作家さんにキャラクター論について語っていただくコーナーが「キャラクター作りの神髄」!
HPでは、その取材模様の全文を公表します!

Vol.08:岩岡ヒサエ先生

ケンケン(以下、K):今回はキャラ作りのインタビューということで、よろしくお願いします。
一人暮らしの「食」をサポートするロボットという
『孤食ロボット』のアイデアはどこから来たのでしょう?
岩岡先生(以下、岩):始め、掲載を考えていた雑誌(『ジャンプ改』)が30代女性向けということで、
その世代に合わせて描こうと思っていました。
それとロボットものは描いたことが無いという理由で、ロボットと人間が出てくるものをやろうと。
また、私自身が料理を作ることへのコンプレックスもあり、
周りの30代女性も同じように料理が苦手という人が多かったので、
料理ができない30代女性がロボットにこっそり料理を教えてもらうという設定に行き着きました。
30代くらいになると、今からお料理教室に行くのも少し恥ずかしいですし。
なるほどロボットにこっそり教えてもらえるっていうのは、憧れなのですね。
そうなんです。憧れや、自分の置かれている状況をキャラに反映させて作りましたね。
『孤食ロボット』は、毎回色々なキャラが登場する読みきりスタイルですが、
どのキャラも特徴があり、どうやって作ってるのだろうと感心します。
世代を変えてしまうと楽なんですよね。
20代男女、30代男女、40代男女…それぞれ悩みが違うと思うので。
あとは職業ですね。仕事によって悩みも違うので、そこで差が出ます。
なるほど! 年代と職業ですか。確かに色んな悩みによってキャラが作れそう。
仕事そのものを描こうとすると、
私はその仕事を詳しくは知らないから描けない。なので恋愛観や人生観について調べます。

岩岡さんのキャラ作りはプロファイリングから

どんな風に調べるのですか?
色々な職種の恋愛観や仕事観をネットで調べて、自分(漫画家)と同じ部分、違う部分を探るのですが、
たとえば銀行員の女性の恋愛観について調べたんですね。
そしたら私と全然違っていて。すごく計画性があって、何歳までに結婚したいとか、
合コンをよくするとか、有名大のお嬢様が多いことが分かって、
今後は、お嬢様の恋愛観について調べて行くんです。
色々とプロファイリングすることで、キャラが固まってきそうですね。
ちなみにお嬢様の恋愛観はどんな感じなのですか?
1つのケースなのですが、私と違うなと思った点は、
恋愛において悩むのが好きなのかなということ。悩むことも恋愛の一つで、
悩むこと自体を楽しんでいるんじゃないかなと思いました。
自分で悩んで、不安に陥って、相手を試したり。
すごい(笑)。周りにまさにそういう銀行員の女性がいます(笑)。
あとは、仕事観について調べたりですね。
銀行の総合職って転勤も多くてつらいし、どうやって乗り越えてるのかなって。
調べる作業が本当に多いですね。取材が命というか。
それをやっておかないと、自分で描いていてキャラが分からなくなるんですよね。
プロットをやりつつ、その都度気になったら調べますね。 こういう時、どう考えるんだろうって。
内面のリアリティにつながりますからね。
ちなみに登場人物の小橋さんはどうやって出来たのですか?
やっぱりこの年代の人はこういう悩みがありそうだな~というイメージからですね。
ロボットも、それに合わせて彼の足りないところを埋めてくれそうなキャラにしました。
あ、毎回のキャラ同士の組み合わせはどうやって考えているのでしょう?
まず人間のキャラを決めてから、可愛いロボ、嫌味なロボ、
ツンツンしてるロボというザックリした性格の中から、合いそうなものを選んで生み出します。
単純に対比とかではなく、足りないところを補い合える関係が良いのかなと思います。
ロボットはご主人が変わると記憶が消されてしまうとか、お客様に不快感を与えたら
消されてしまうとか、結構悲しいシチュエーションにありますよね。これはどうして?
それはやっぱり私がそういう哀しさとか、暗いものが元々好きなのがありますね(笑)。
あと、そういう哀しさがあった方が作品に深みが出るかなと思っています。
なるほど。各話のネタはどうやって作りますか? 料理からとか?
こういう料理を出したいから描くってことではなく、
キャラのドラマなのですが…。まずコミックス1巻分の登場人物を考えますね。
男女や年代が被らないように、6話分にバランスよく年齢を割り振って、
そこからキャラそれぞれの悩みを考え、ドラマを組み立てて、それに合う料理を考えます。
なので、コミックスの中でのエピソードのバランスを重視していますね。
料理は後から考えるのですが、よく居酒屋とかで食べるけど、作ったことないなっていう
ようなものを最近はチョイスしたりしています。
ふむふむ。料理漫画というジャンルは元々好きだったのですか?
そういうわけでは無かったのですが…でも、漫画の中に料理が出てくると、
読んでいて盛り上がりますよね。
羽海野チカ先生の作品とか、食べている姿が美味しそうで。
漫画における料理描写の重要さは、前々から意識していました。
確かに! ジブリ映画の食べ物描写もかなり脳裏に焼きつきます!
見ていて「美味しそうだなぁ~」とか「これ食べてみたいな~」とか。
料理漫画って、食べている側の美味しそうな顔を上手く描けるか、
食べ物を上手に描けるかが、結構重要だと思うのですが、私はどちらも下手で試行錯誤です(笑)。
男性向け漫画では料理自体の美味しさが大事かなと。
女性向けでは、人間ドラマがメインなので、食べている顔が重要かなと思ったりします。
なるほど確かにそうですね。
ところで、1話完結や読みきりの漫画で、大事なことって何でしょうか?
投稿者にとっては、読みきりをどうやって作るかが最初の関門と思うので。
単純ですが「訴えたいことを1つ必ず作る」ということですかね。あと起承転結。
ああ~起承転結といえば、投稿作でよくあるのが
「幼馴染の男が好きなのに、素直になれなくて告白できずケンカばかり、
色々こじれて素直になる一歩を踏み出して告白! OK!」みたいなものが多くて…。
起承転結自体はあるけれど、起承転結があれば何でも良いわけじゃないよ!
というものには、どうアドバイスしたら良いと思います?
それは…。その人が…それを本当に面白いと思ってるかどうかですよね。
自分で面白くないと思うことは描かないことですね。
私はそういうものを描こうとしても気分が乗らないと思います。
あとは、面白いと思ったこと、心に刺さったものをメモしておいて、
どんどんアウトプットして行くと良いのかなと思います。
自分の中からうーん、うーんとひねっても中々出てこないですよね。
日ごろからメモしたり、調べたりするのが大事ですね。

「ダッシュして告白したら両思い」みたいなベタな話にならないために

あと、すごい大き過ぎるドラマを起承転結に持ってくると陳腐になりやすいと思います。
32Pしかないと。大きなドラマを描こうとすると、どうしても見たことがあるものに
なりがちだと思うんです。
あ、それってすごく分かりやすいアドバイスだと思います。
大き過ぎるドラマではなく、もっと小さな起承転結。
32Pで解決できないような大きな悩みに取り掛かろうとしちゃうんですよね。
だから陳腐な解決方法になっちゃう。ダッシュして告白したら両思い!みたいな。
他に、漫画作りで大事だなと思ったことはありませんか?
漫画は読者に「読まれるもの」だと意識することですかね。
あと、担当の言っていることを理解することです。
私は初め変な反骨精神があって、担当に言われても直せなかったんですよ。
最初は自分の描きたいものばかり描いていたんです。
何がキッカケで変わったんですか?
自分のネームは通らないのに、自分が面白くないと思っている漫画が雑誌に載っていて、
なんでだろうとちゃんと考えた時に、載っている漫画には私に足りないものが詰まってる!って気づいたんですよ。
前は、暗い漫画ばかり描いていたんですが、今思えばそれもかっこつけだったのかなと思いますし、
明るい王道をちゃんと描く方が難しいし、やり甲斐があるなあと。
王道で面白いものを描くことは難しいですよね。
でも、それが出来たら大きな作品として育つ可能性が高くなると思います。

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