マンガ投稿C.C.C.

キャラクター作りの神髄

  • Vol.12:椎名あゆみ
  • Vol.11:田辺真由美
  • Vol.10:持田あき
  • Vol.09:優木なち
  • Vol.08:岩岡ヒサエ
  • Vol.07:池谷理香子
  • Vol.06:斉藤輪
  • Vol.05:Msria
  • Vol.04:宮川匡代
  • Vol.03:彩花みん
  • Vol.02:池野恋
  • Vol.01:高須賀由枝

本誌「C.C.C.」内で、様々な作家さんにキャラクター論について語っていただくコーナーが「キャラクター作りの神髄」!
HPでは、その取材模様の全文を公表します!

Vol.10:持田あき先生

ケンケン(以下、K):大人気連載『初めて恋をした日に読む話』ですが、この作品の原点はどんな思いから生まれたのでしょうか?
持田あき先生(以下、持):探すのをやめた時に見つかるっていう、井上陽水さんの『夢の中へ』の歌詞にあるような感じを描きたいと思いました。
歌詞からなのですね。
「あーーもう無理だーー」と爆発して、それまで固執していたこだわりや考えを捨てた時、本当に探していたものが見つかる。順子の場合は「しっかりしなきゃ」って縛りを捨てたことによって匡平を合格させるという、夢中になれる目標を見つけられたんだと思います。
そういう描きたい気持ちが先にあったのですね。順子のキャラはどのようにして出来たのですか?
友達と自分、同年代の女性を混ぜてそのまま描いています。
作者と等身大のキャラなのですね。順子は持田さんのどんなところが出てます?
よくアシスタントさんに順子のやさぐれたギャグ絵が私に似てるって言われますが、そんなに嬉しくないです。
順子のキャラは、迷走中の31歳というキャラですが、このような感情からスタートさせた理由は?
飲み会の帰りの、あのちょっとホロっとした寂しさが好きなんです。楽しかった後、1人になった時に明日の予定とか、ずっと先のこととか考えちゃって少ししんみりしてしまう。そんな時、未来の心配なんて何もしてない高校生男子とかが目に入ると眩しくてクラクラしそうだなぁと。自分も誰かと一緒に楽しく歩いている時だったら、目にも入らない光景だと思うんです。そういうコントラストを意識しました。
感情と結びついた情景が起点なのですね。順子を描く時に大事にしていることは?
順子は「思春期の頃、好きだった大人」をイメージして描いてます。子供を子供だからと言って決めつけて一方的に何かを押し付けることは決してしない。きちんと説明してくれる人。一緒に本気で遊んでくれて、自分のダメなところも隠さない。でもやっぱり考え方は大人という。
すごく具体的なイメージがあるのですね。
好きだった先生や親戚の大人のお姉さんなどがモデルになっています。
では、順子に限らず持田先生が少女漫画のヒロインを描く上で大事なことって?
理想は「女が惚れる女」です。いい子悪い子に限らず、根っこの強い面が見えると私はグッときます。日常の中でふっと印象的なことを言われたりすると、そういう面が見えるかなと。あと、作品に登場する年上女性のセリフは大体、母に言われたことです。私はいつまでも母の一言を覚えていて、母は覚えていない。びっくりです。でも、そういう無意識の言葉をキャラに言わせるのが好きです。
持田先生のお母さまは名台詞の宝庫なんですね。
そんな感じで友達や周りの女性のふとした言葉や空気感を覚えておいてキャラに投影させてます。
次に、匡平のキャラはどうやって出来たのですか?
私の出身校は結構ギャルっぽい子が多かったのですが、専門コースの茶髪に短いスカートの派手な子たちがちゃんと資格を取ってる姿がかっこよくて。不良の集会の中で頭ピンクの男の子が参考書見てたら良いなって。「この子、友達とも付き合いながらちゃんと自分の目標があるんだ」と思います。
ご自分の原体験から上手くキャラを作ってますね。匡平を描く上で意識してることは?
大事な時に照れない。そんな人をかっこいいなぁと思うので、匡平にはハッキリものを言わせるようにしています。
一人ひとり、そのキャラならではの魅力のイメージがあるのですね。持田さんが少女漫画において、ヒーローキャラとしてこれは大事というのはありますか?
言葉よりも行動に説得力のある人だと思います。言葉にするにしても相手が一番聞きたい言葉を言えるということ。それが出来る人って本当に頭が良い人だと思います。
有言実行で、相手への思いやりという点で賢い人というのが大切ということですね。お話を聞いていると、人として大事なことを描くことが良いキャラを描くことに繋がるんだなと思わされます。次に話作りについてですが、持田さんは普段、どのようにお話を作るのでしょうか?
以前、人に話して全員に「は?」って言われたのですが、読み切りに関して言うといつもイメージは「漁網」。ばっと網を広げて、ところどころに伏線をかけておいて最後に一点で拾い上げる。その一点に一番のテーマを込めるんです。なのでそのテーマさえ見つかれば読み切りはまとまると思ってます。
色んな描きたいシーンや伏線、セリフなどに広く思いをめぐらせて、そういった点と点を繋ぐ一番描きたいテーマによって1つにまとめるということですね。それでも投稿者の多くは、途中で行き詰ってしまってネームが完成できない人も多いのですが、どうしたら良いと思いますか?
私もデビュー作を描いている時、ネームに詰まって辞めようとしたのですが姉に「この話だけは最後まで描きなよ」と言われて、そんなこと言われたことがなかったので「あ、ほんと?」となり。そういう風に漫画作りに関して歯に衣着せぬ本音を言ってくれる人がいると助けられるかもですね。
周りの何気ない言葉も大事ですね。では、ネームを描いている途中で、
話が変わってきて、最初に描きたかった熱が冷めて読み切りが作れないといいう人はどうしたらいいですか?
「一番描きたい箇所を主軸に作品を作る」と強く意識して作ってみてはどうでしょう。
描いていて一番楽しいはずの部分が話の全体の流れの中では「あってもなくても成立してしまう」という時は、私もネームが描けない時が多いように思います。
たしかに。それは納得です。
最後に、持田先生が投稿時代と今とを比べて漫画の描き方やコツなどの発見はありますか?
すみません。それだけは分からないです。出来ればこうやって描くものだなんて結論をつけずに、最後までウンウン言いながら描いていきたいです。
思考停止することなく常に前進ということですね。ありがとうございました!

bottom