クッキー連載のきっかけ
――お2人ともずっと『りぼん』で活躍されていましたが、今回クッキーで連載を始められたのは、どのような理由があったんですか?
槙) そろそろ『りぼん』以外の雑誌でも描いてみたいという想いがあって、声をかけてくださったのが、クッキーだったんです。
――クッキーでの新連載を、2人の合作にしたのは?
持) 将来的に2人でやってみたいという夢があったんですね。もっと先のことだと考えていたんですけど、描きたいけど描けない環境や年齢になってからだともったいないし、体力のある今やろうと思って。
槙) 今までがんばってきた、自分へのごほうびとして、やりたいことをやってみようと(笑)。
『zen zen』が誕生する瞬間
――持田先生がネームを担当し、槙先生が作画を担当する分業方式だそうですが、『zen zen』のストーリーそのものは、どうやって考えたんですか?
持) 六本木のうどん屋で2人で話し合ってたんです。私は、全く案が浮かばなくて「どういうのが読みたい? 描きたい?」って姉に聞いたら「男の子が主人公で、女の子がいっぱい出てほしいな」って言われて。私、その場で思いついたんですよ。「ひらめいた!」って。
槙) 自分でそう言ったらしいんですけど、全然覚えてないんです(笑)。そのあと、私が一生懸命仕事の話してるのに、もっちーがひとりでトリップしちゃって、全然聞いてくれなかったんですよ!
持) 一生懸命ストーリーを組み立ててたんです(笑)。
槙) 「ねぇ、話聞いてんの?」って怒ったら…。
持) 「ごめん、聞いてない」って(笑)。お姉ちゃん怒ってるけど、こっちのほうが大事! と思ってたから。最初は、女の子が出てきて、いろんな恋愛する話かなってざっくり考えてたんですけど、自分の中でなかなか固まらなくて。でも、姉から違うエピソードやキーワードを与えられたら、ぽんぽんストーリーが浮かんできたんです。
――その日のうちに、ストーリーが完成したんですか?
持) ネームまではさすがにやりませんでしたけど、お話のプロット(あらすじ)は書き上げましたね。
槙) まんがを2人で作るときのいちばん理想的な形かもって思います。
持) ね? 絵を描く人の案を取り入れて、ストーリーを決めていくっていう。
2人でまんがを描くこと
――槙先生が持田先生のネームを見た第一印象は?
槙) おもしろかったです!
持) 絶賛してくれたんです。すごく気持ちよくOKが出て。
槙) はい。「全然OKじゃん!」って。
――もしかしてタイトルの「zen zen」はそこから!?
槙) そうです!
持) 違うよ(笑)。冒頭の「全然前触れもなく―」って言葉が、私の頭に最初に浮かんだから、それでタイトルにしたんだよ。
槙) あ、そうだ!
持) そうそう。それで“全然”って「全然OKとか、しょっちゅう使う言葉だからいいねって。そんな会話をして決めたんです。
――持田先生から槙先生の原稿を見た感想はいかがですか?
持) 実はまだ見てないんですよ。でも、絶対魅力的な画面してくれると信用しています!
――2人でまんがを描いてみて、初めて発見したことはありますか?
槙) 私には思いつかない展開やキャラの動き、発言が出てくるのがおもしろい。脳みそが全然違うんですよね。
持) って言いながら、結構自分流に変えちゃうよね(笑)。
槙) そういうこともある(笑)。もっちーが「これは絶対描いてほしい!」と思ってるところは、ネームでもしっかり描いてあるから、そこは活かします。
クッキーへのイメージ
――お2人は、クッキーにどんなイメージがありますか?
槙) 自分のブログに『りぼん』を卒業して『クッキー』を読んでます』と描いていたファンの方が、結構いたので『りぼん』を卒業した人が読むのかなと。
持) 『りぼん』を卒業して、オシャレにも興味が出て、まんがも大人っぽいのを読みたいと思うオシャレな女の子が読んでいるイメージもありますね。
――お話を作っていく上で『りぼん』より読者の年齢層が上というのは、意識されましたか?
槙) もともと『りぼん』の中でも「大人っぽい」と言われていたので、特にそういう意識はなかったですね。
――では『zen zen』をどんな作品にしていきたいですか?
持) まずクッキー読者の方に読んでほしいんですけど、その子の姉や妹だったり、男兄弟だったり、身近な男の子だったり、お父さんやお母さんにも読んでほしい。みんなで楽しめるエンターテイメントを目指して描いているので、いろんな人が楽しんでくれるとうれしいです。
槙) そう思います!(笑)
おわり
構成/古川はる香
プロフィール
槙ようこ先生
7月11日生まれ。'99年『ラブサービス!』で『りぼん』にてデビュー。アニメ化もされた『愛してるぜベイベ★★』、『勝利の悪魔』などの作品がある。
プロフィール
持田あき先生
7月2日生まれ。'00年に『角砂糖恋愛』で『りぼん』にてデビュー。『君は坂道の途中で』、『おもいで金平糖』などの作品がある。