まんが家インタビュー

Cookie10周年記念企画クッキーまんが家インタビュー

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2010年Cookie4月号掲載石田拓実先生

クッキー創刊の思い出

――まずは石田先生が『クッキー』で描くことになったきっかけから伺えますか?

もともとデビューしたのが『ぶ~け』という雑誌で、そこででお世話になっていた編集さんが『クッキー』を創刊されて移ったので、その流れで『クッキー』でも描かせていただけることになったんです。

――創刊されたクッキーの印象はいかがでしたか?

矢沢先生、いくえみ先生、池野先生などすでに大御所の先生たちと私みたいな新人まんが家たちがひとつの雑誌に掲載されていて、フルーツポンチみたいだなと思いました。個人的にはあこがれの先生たちと同じ雑誌に載れたのが感激でしたね~。

「汚れてる暇なんてない」誕生秘話

――クッキーで最初に描いた本格的な連載作品が「汚れてる暇なんてない」ですよね?

はい。これ、最初は3回で終わる予定だったんですよ。でも3回目のネームを担当さんに見せたときにまるまるダメと言われてしまって……。「すごくいいという自信もないけど、そこまで悪くもないんじゃないでしょうかぁ!?」と掛け合ったら、担当さんは「これじゃ終わっちゃうから、もうちょっと余韻を残してもらえないかな」と。今思えば「汚れてる暇なんてない」を続けるつもりだったからってわかりますけど、何も知らない私としては「えっ? これで連載終わりなんだから、終わっちゃって何が悪いの!?」って感じでした(笑)。

――ということは、4回目以降の展開は連載続行が決まってから考えたものなんですか?

そうです。3回目のあとも連載が続くとはわからないまま番外編的な読み切りを1話描いて、その次に1話分を32ページ描くことになったんです。そこでサチの高校時代編が32ページでおさまらず苦しんでいたら、「32ページ以上になってもいいから、描けるだけ描いてみて」と担当さんから言われまして。

――そこから全3巻の連載にまで展開していったんですね。サチの過去がだんだん種明かしされていく構成がおもしろいと思ったんですが、そういう流れで生まれたものだったとは驚きです。

はい。なりゆきでああいう構成に(笑)。もともとお話を描いてるときって、「この子、実は過去こんなことやってて……」って関係ないこともつらつら考えていたりするので。それをそのまま描いた感じですね。

印象的だった「パラパル」

――「汚れてる暇なんてない」のあとは「ジグ☆ザグ丼」、「パラパル」と連載が続きましたが、一番印象に残っている連載作品はどれですか?

「パラパル」ですかね。連載期間が長かったのもありますけど、ああいう不思議な設定のまんがを描くのは初めてだったし。

――どういうところからあの設定は生まれたんですか?

最初は「鼻のいい女の子を主人公にしよう」と言ってたのが、だんだん盛り上がって「体の中に宇宙人入っちゃう!?」「五感それぞれが優れてる人がいるとか!?」って広がってきちゃいまして(笑)

――ハナたちがどこからきたとか、どういう世界に暮らしていたとかいう設定も最初から決めてたんですよね?

実は……全体像は後から考えたんです(笑)。読者の方に「この設定、最初からきちんと考えてあったんだろうな」と思われるといいなと思ってました(笑)。

――すっかり石田先生の作戦にハマってました。

よかったです(笑)。でも、時間軸のこととか、ハナが住んでる世界のこととか、説明するシーンは描くのに苦労しました。きっとクッキー読者はこんな細かいの好きじゃないんだろうな……と思って。とは言っても描かないと終われないし!

最新作「はしたなくて ごめん」

――そして現在は「はしたなくて ごめん」を連載中ですね。石田先生は連載ごとにガラッと雰囲気が変わりますが、いつもどうやってストーリーを考えているんですか?

たいていは描きたいシーンがぽんと出てきて、「こんなときにこんなこと言うのはこんな子かな?」とキャラクターのイメージを膨らませていくかな? でも「はしたなくて ごめん」はシーンからではなく、今までやったことがないマジメ×マジメのカップルを描いてみたいと思って考え始めました。

――「はしたなくて ごめん」は当初、読み切りとして描かれたものだったんですよね?

そうですね。読み切りを1話描いたら、もう少し与倉側から真菜緒とのことを描いてみたくなって。私のほうから次の連載作はこれでいかせてくださいとお願いした覚えがあります。

クッキー10周年を迎えて

――クッキーが10周年を迎えたことについて感想を聞かせてください。

本当にあっという間でしたね。個人的には本格的にまんがを描くようになった10年でした。まだまだひよっ子です!

――今までクッキーに掲載された思い出の作品は何でしょう?

いつも読者感覚で読んでいるのでいろいろありますけど、藤末さくら先生の「あのコと一緒」は毎回続きが気になってましたね。香澄の行く末を心配してました(笑)。

――クッキーの今後に期待することはありますか?

なんでもない主人公が才能を発揮して成功していく作品が読みたいです! スポーツでも芸能界でもなんでもいいんですけど。私はまんがしか趣味や特技がないので、ほかに何か好きなものがある方に描いてもらいたいですね。

――石田先生自身が今後描きたい作品は?

40代とか小学生とか今まで描いたことがない世代を主人公にした作品を描いてみたいですね。今後ともがんばりますので、末永くよろしくお願いします!

おわり

構成/古川はる香

プロフィール
石田拓実先生

1976年8月12日大阪府出身。1993年「姉妹の法則」で『ぶ~け』にてデビュー。若者の揺れ動く気持ちや、不器用な生き方・恋愛をリアルに描いた作風が持ち味。現在、クッキーにて「はしたなくて ごめん」を連載中。

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初表紙『クッキー』02年9月号

初表紙『クッキー』02年9月号

「ジグ☆ザグ丼」の連載開始号で担当した表紙イラスト。
「おしゃれに見せようと思って、あえて笑ってない顔を描きました(笑)」

初登場『クッキー増刊号』Vol.1

初登場『クッキー増刊号』Vol.1

読み切り「パー・ライ」を創刊前の増刊号Vol.1に掲載。
「初めて私の作品を読む方もいると思ったので、当時の自分らしさをいろいろ詰めこんだサンプルのつもりで描きました」

「汚れてる暇なんてない」2巻

「汚れてる暇なんてない」2巻

「描きながらサチにはイライラすることが多かったんですが(笑)、“なんで初対面の男とホテル行くねん!!”と最高にイライラしたのがこのシーン。描いたのは自分なんですけどね(笑)」

「汚れてる暇なんてない」1巻、「ジグ☆ザグ丼」4巻

「汚れてる暇なんてない」1巻、「ジグ☆ザグ丼」4巻

「「汚れてる暇なんてない」、「ジグ☆ザグ丼」両方に登場するキャラ・下寺つう」
「「汚暇」ではもうちょっと描きたいキャラだと思っていたので、もう1度登場させてみました」

「パラパル」5巻

「パラパル」5巻

「お年寄りはあまり描いたことがなかったので、鶴見のばあちゃんは描いてて楽しかったですね~。ぬいぐるみのような造形で描きやすかったです(笑)」

「はしたなくて ごめん」1巻

「はしたなくて ごめん」1巻

「与倉は生真面目で、ピュアで、今までに描いたことがないキャラなので新鮮です!」

「はしたなくて ごめん」扉

「はしたなくて ごめん」扉

真奈緒の趣味は委員長の与倉をネタに妄想を繰り広げること。ところが、あるきっかけで与倉の恋を応援することに。だが……!?

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